Entries from 2018-04-01 to 1 month

利根川

わたしが居る場所には、利根川という名前のついた川がある。川があると言っても、実際にはそこに川はない。いまこの7秒間にわたしが目にした水たちはもうここには居なくて、既に数十メートル先に進んでしまった。この先も彼らは移動しつづけるのだろう。わた…

晴れに寄せて(第一稿)

今日は晴れている僕はいつも、ある特定の思考方法を人生に採用することがあるのだが、それは以下の通りだ。ある日、とても幸せな気分になったとする。しばらく平穏な日々が繰り返され、ある時には気分が乱され、荒れた海の様な心持ちになる日がやってくる。…

私はあの木だ

私はあの木だ わたしはあの空であるだろうそして私は彼であり また彼女だ彼らの痛み 胸の弾む気持ち 静寂それらも また 私なのだもう私は何に怒ることも 同情を寄せることも誇らしさを感じることも 悲しみを持つことさえもできなくなった彼らはわたしである…

布団の扉

僕は熱を出していた布団のなかでひとり身体の火照りを感じて喉は乾いていた今この瞬間に僕にように布団で熱を出している人はこの世に何人いるだろうか?熱と布団で繋がる世界の友人たちだ布団の扉で僕は彼らに繋がっている

孤独の果てに(ガブリエルの手紙)

孤独の果てには何があるのか と僕は友人に尋ねた友人はいう「そこにはなにもない。僕たちは誰といても幸福に包まれてもこの気持ちを持ち続けるだろうこの世の全ての人に等しくこの法則は働き続けるだろう重力がある限り地球やこの銀河系が存在しうる限り。」…

Requiem

この地の歌によって人々のいのちは清らかなる その色を再び光らせ それはまた この地の精霊たちに喜びの踊りをもたらすだろう

池の上にはたくさんの蓮の花が面白いくらいにたくさん咲いていたのだが僕はそれどころではなかったので花の前でも花なんか見ていなかったあれからしばらく経ってからなぜか花の美しい姿が僕の脳に現れる様になったこの理由を説明できる人がいたらぜひ僕に手…

黒曜石

僕はある石を手にとって、それを眺めた。 これはある知人が僕にくれた黒曜石。 僕はこれをもらった時には特別な興味を持たずに この石は長く僕の机の隅に置かれていた。 近頃、石はなぜか僕に語りかけてくる様になった。 僕もなぜ知人がこの石をくれたのだろ…

急な雨

この場所にはたくさんの杉があり雲間からは光が時刻は午後三時ちょうど急な雨が降り出してきた僕たちはバスに向かって急いで走って少しだけ笑った