Entries from 2017-06-01 to 1 month
これは遠い昔に愛する人が座った椅子だ これは君が産まれて間もない頃 君の母が君を抱き 君の幸せを願いながら座った椅子であっただろう ある時この椅子の上で ある人は愛する人の死を悲しんで泣いていた ある時はまた まるでこの世界の全てのわるいものが集…
「未来のことは誰にもわからないんだ。あの鳥だって僕たちの未来については何も知らない。でももし君が鳥の言葉を話すことができるならば、何か教えてもらえることがあるかもしれない。」
「鳥になってみたいと思うことがあるんだ」 「どうして? 飛んでみたいからなのかしら」 「違うんだ。 風に吹かれて 街を見下ろして 僕がひとりで飛んでいる。 周りには誰もいない。 虫もいないし、雲だっていない。 ただただ透明なまっ黒の空気のなかに 僕…
「この大きな石は今日のことを 忘れずにいてくれる ことでしょう ある日わたしたちが座ったことを 大切に持ち続けてくれるでしょう 石は誰にも それを語ることはないでしょう 砕かれ、小石や 砂つぶになっても 溶けて例えばそれが どこかのガラスのコップに…
誰かのかわいい笑い顔であったのか ひとつの本であったのか 朝のきもちよさだったのか ぼくはどこに繋がっているのでしょう 風が吹くでしょう 強く 空は暗い透明になるでしょう ぼくもその透明に溶けていくでしょう ぼくはどこに繋がっているのでしょう きっ…
それらの過ぎ去った幻はどれも 全て永遠にキラキラと存在しつづけるでしょう たとえわたしたちの命が無くなっても その幻はどこかで光続けているでしょう 誰もがその幻をすっかり忘れてしまっても 幻はそれさえも気にすることもなく ただそこで永遠に輝いて…