石と乙女



「この大きな石は今日のことを
忘れずにいてくれる
ことでしょう

ある日わたしたちが座ったことを
大切に持ち続けてくれるでしょう


石は誰にも
それを語ることはないでしょう


砕かれ、小石や
砂つぶになっても
溶けて例えばそれが
どこかのガラスのコップにうまれかわっても


この石は
わたしたちの代わりに
持っていってくれるでしょう
この瞬間を

たとえ私たちが
すべてをわすれても

誰もいなくなってしまっても 」