無題

駅の近くのドアからドビュッシーが流れていた

彼の好みではないはずだったが

なぜかその時は、(またまたなぜだがと言わざるをえないのだが)ドアそのものから流れてくるドビュッシーにいたく心を奪われてしまった

これがいわゆる全てのものはタイミングであるということばの意味であった


その日彼は旅だった