万年筆



「はじめてでいらっしゃいますか?」

彼は私にはじめてなのかを若干の確信をもって尋ねた

「いえ、二個か三個かもっています」

そうでしたか、彼は答える


初めてではないことが
なんだか申し訳ないことのように思ったわたしは尋ねる

「何か気をつけるべきことなど
あったりするのでしょうか」


「ペン先を下に向けて移動してしまいますと
インクが漏れてしまう恐れがあります
お気をつけてください」

彼は答える

「それははじめてしりました」


私は彼にはじめてを差し出す

万年筆を買った