時差についての話


一年前、初めて大学の油絵のひとびとにあった。その時わたしはだいぶなんだか色々元気がなかったが、とにかく同じガラス専攻のみんなと油絵の人々と集った。いっしょにタコスを食べたり、荻窪のギャラリーに集ったり。

それから一年が経ち、わたしたちは同じ空間で展示をしている。「僕たちの光学」というタイトルで。

階段を上がってすぐのところに、
ガラスの箱に外国人の男の写真がはさまった作品がひとつ。

作者のO先生に話しかけてみる。
タイトルは、脳天。
これはお友達の写真だとのこと。
お友達のおばあちゃん(ご高齢)のところにお友達と一緒にいくことになり、ついていった。
おばあちゃんは彼が2、3歳までの時のことばかりを繰り返し話す。

人の記憶について
記憶がなくなったらまあ
本人は楽かもしれないね
藤原先生も交えて色々話す
幼少期の記憶
後から追加される記憶もあること
記憶はけっこう嘘をつくこと

その場では普通に、いろいろ話す。

でも私の中ではなにかがとても激しく反応していた。
うちに帰り、ボウイのspace oddityを聴きながら
何かが、相変わらず言葉では定義できない感情で高ぶり

そして号泣
ものすごく泣いた

時差を伴いながら
わたしは作品に心動かされていた

こんなことははじめてだと思う。