夕陽予報士


拝啓 キリヤ先生


お久しぶりです。
こちらはとても暑い日でした。
先生は今日の空を見ましたか。
綺麗な紫色でしたが、見ましたか。

ぜひ一緒に見たいと思ったのですが
私が綺麗だなと思いながら庭をぐるりと一周して戻ってきたら、もう灰色が混じっていました。


それはそれで綺麗だったけれど
はっとしたあの一瞬をご一緒したかったのです。でも、もうあの紫は次にいつ見えるかわかりません。それに、一緒に見たからなんだと言われると答えるののは200年かかってしまいそうです。


この世には気象予報士さんは居るけれど、夕陽予報士は存在しないのです。

いや、もしかして存在しているのかしら。
知っていたりしませんか。

きょうは取り急ぎ、この辺で。


綾子